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正観世音菩薩立像(秘仏・本堂安置)


 泰澄大師御自作と伝わる正観音さま。その優しいお姿で、人々をあらゆる苦しみから救って下さいます。魔神を調伏した「魔除け観音」ともいわれ、古来篤く信仰されてきました。
 
 美術史的な観点からは鎌倉時代の彫刻と考えられています。像容は、高い髻を結い、卵型の顔に生き生きとした慈悲相を表します。印相は左手に未敷蓮華を持ち、右手でその蓮華を開こうとされています。体軀は均整がとれ、衣文もやわらかく表現されています。菩薩でありながら袈裟をつけるお姿には、中国宋時代の仏画の影響が見られますが、この時期の同様の等身菩薩像は鎌倉周辺などには見られるものの、当地方では他に類を見ません。中央に依拠する相当な技量を持った仏師によって制作されたものと考えられます。 


福井県指定文化財 鎌倉時代 寄木造り(カヤ材) 像高196cm


千手観世音菩薩立像(千手堂安置)


 泰澄大師が災難厄除のため、正観世音菩薩と同木より作られたと伝わる千手観音さま。そのありがたいお姿に感動し涙する参詣者の方もいらっしゃいます。また哲学者梅原猛氏は、泰澄大師ゆかりの観音像の中でも特にすばらしいと高く評価されていました。

 お姿を拝しますと、まず頭上に十一面をいただかれています。手は主臂が二本(合掌手)、脇手は四〇本で、これは左右ともに三列に組み込まれています。後補の漆箔が厚く、構造は詳らかでありませんが、ケヤキの一木造で内刳りは無いとみられます。彫法はやや生硬な感じながらも、唇を硬く閉ざし、衆生を見据えるような面相は厳粛。衣文表現などからは平安末期から鎌倉初期頃の作と考えられますが、その厳しく張りのあるお顔は平安前期的であり、あるいは前代の霊像を模刻したものかもしれません。


福井県指定文化財 平安時代 一木造り(ケヤキ材) 像高180cm


不動明王立像(本堂安置)


  観音さまとともに多くの善男善女の信仰を集める不動明王。右手に智慧の劍を、左手に羂索を持ち、その恐ろしいお姿で魔障を破り、人々を正しい道へと導いて下さいます。北陸三十六不動霊場第三十一番札所として全国からお参りに来られます。


越前町指定文化財 室町時代 一木割矧造り(ヒノキ材) 像高95cm


弘法大師坐像(本堂安置)


  真言宗の開祖、弘法大師のお像です。令和2年5月の調査により、像内から墨書銘が見つかり、院派仏師の院増とその子息2人が文明3年に造立・寄進したものとわかりました。また当山の古名である「郡榮山朝日寺」が明記されており、歴史資料としても非常に貴重な発見となりました。


室町時代 文明3年(1471) 寄木造り(ヒノキ材) 像高27.2cm
寺宝報告書「福通寺 木造弘法大師坐像について」(PDF 6MB)


大日如来坐像(内郡日吉神社拝殿安置)


 その昔、福通寺の本尊として安置されていたという大日如来像です。戦国時代末期、一向一揆により当山が焼き打たれた際、内郡の日吉神社にこの尊像を隠して難を免れたといわれています。それ以来大日如来像は、日吉神社拝殿に安置されて今に至りますが、17年に一度の朝日観音御開扉法要の際には、内郡区の青年団によって輿に担がれ、当山に「お里帰り」されます。仏像が地区ぐるみの行事として御遷座されるのは、全国でも他に例を見ない非常に珍しいことです。
 智拳印を結ばれる金剛界大日如来で、素朴な中に森厳な趣がただよいます。近年の修復により大変凛々しいお姿がよみがえりました。なお日吉神社拝殿には、十一面観世音菩薩、地蔵菩薩、四天王のうちの二天の各像も安置されています。


福井県指定文化財 平安時代 一木割矧造(ヒノキ材) 像高160cm

大日さんのお里帰り 開創1300年記念御開扉法要(平成29年4月)にあわせて朝日観音にお里帰りされる大日如来像の写真集です。

大日如来 大日さんのお里帰り(平成29年4月御開扉法要)開創1300年記念御開扉法要にあわせて、朝日観音にお里帰りされる大日如来像の写真です。 img_0391.jpg dscf0585.jpg dscf0589.jpg img_0401.jpg img_0404.jpg p4020072.jpg dscf0625.jpg img_0416.jpg dscf0664.jpg img_0423.jpg img_0425.jpg p4020097.jpg p4020105.jpg


幸若家寄進の梵鐘(鐘つき堂)


 この梵鐘は、当町の西田中に屋敷を構え、徳川将軍家に幸若音曲の芸をもって仕えた幸若八郎九郎家の第十一代直良が、所願成就・報恩謝徳のため、元禄5年(西暦1692年)に寄進したものです。製作年は貞享3年(西暦1686年)で、金沢城下の鋳物師で加賀藩御用釜師でもあった宮崎彦九郎義一(初代寒雉)とその子彦三郎義治による作との銘があります。その音声は玲瓏透徹、国内無双といわれ、太平洋戦争時の供出回収を免れて今日に至っています。
 本来梵鐘は、仏事や時報、火災報知等以外は撞くものではありませんが、この梵鐘はいつでも所願成就を祈って撞くことができます。


越前町指定文化財 江戸時代 宮崎彦九郎義一(初代寒雉)作